礼拝説教
2004年5月9日
「父も母も子を愛す」
創世記25:19-34、27:1-10
 今日は「母の日」です。私たちを産み、育ててくださった母そして父に感謝し、幼い時から成人するまで(それまでに亡くされた方もおられるかも知れませんが)どのように育ててくださったかを思い起こすことは、意義のあることと思います。今朝は、イサクとリベカ夫婦が2人の息子エサウとヤコブをどのように愛し、育てたのかを聖書から学んでみましょう。

 イサクとリベカは、いわばお見合いと同時に結婚という今日ではあまり例のない結ばれ方をしましたが、最初のうちは互いに深く愛し合っていたようです(24:67)。 でも2人には20年もの長い間子どもができませんでした。イサクは妻リベカのために主に祈願し、ついに与えられました。イサク60才の時です(25:20-21、26)。与えられた子どもは双子で母の胎内にいた時からぶつかり合い、生まれた時弟のヤコブは兄のかかとをつかんでいました。それでその子をヤコブと名付けたのです。イサクはエサウを愛しました。やがて成長したエサウは巧みな猟師になり、獲物を料理して父に食べさせ、父はそれを好んだからです。一方ヤコブは穏やかな人となり、天幕に住み、母リベカとうまが合ったようです。母はヤコブを愛していました(28節)。  このように父と母が子どもたちを別々に愛することは決して良いことではありません。その結果 、家族はどうなったでしょうか。

 第1に、家族がばらばらになって、一致がなくなってしまいました。イサクととリベカが同じ価値観、同じ目標をもって子どもたちを育てたとは思えません。夫婦はそれぞれ自分の考えで行動し、主のみこころを第1とする生き方をしてきません。イサクは主のみこころを求めてからエサウを祝福しようとは思わなかったし、リベカはヤコブと共謀して父からエサウへの祝福を横取りしてしまいました(27:35-36)。しかし、これらのことは4人とも間違った行動だったのです。 (25:22-23と27:27-29を参照)

 第2に、夫と妻との間の愛やいたわりの気持ちにひびが入り、兄弟同士も互いに相手を思いやったり、いたわり合ったりすることがなくなってしまいました。年をとって目が見えなくなった夫イサクへのいたわりのことばがリベカから出て来ませんし、わが子エサウへの愛もリベカから感じられません。先に長子の特権をヤコブに売り渡し(25:30-34)、今度は自分への祝福を横取りされたエサウは、弟を殺そうと思うようになりました(27:41)。その結果 文字どおり、家族は離ればなれになってしまったのです(43-45節、28章)。
  今泉キリスト福音教会 牧師:岡本 昭世 【説教インデックスへ
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