2006年11月19日
「いじめ問題を考える」
士師記6:11-16,25-32

 この1週間の間にいじめによる中学生の自殺が2件も起きています。12日に大阪府富田林市で中学1年生の女子生徒(12)が自宅のベランダの真下に飛び降り自殺しました。本人は背が低く、チビとからかわれ、それをいやがっていました。10月中旬には体育の授業でバレーボールをした際、故意にパスを女子生徒に集中しているように見えたので、体育の教師が生徒たちを指導したことがありました。また、14日新潟県神林村の中学2年の男子生徒(14)が、構内で同級生にズボンと下着を下ろされ、周囲に「死にたい」ともらし、帰宅後自宅の納屋で首をつって、自殺しました。本当に痛ましくも悲しい子どもたちの自殺です。他にもこれまでに何件も痛ましい事件が起きています。
 いじめ問題は決してあってはならないことですが、実際にはすべての学校で大なり小なりのいじめが起きています。今日は解決への手がかりとして、旧約聖書の士師記からギデオンを取り上げてみましょう。

 I. ギデオンは臆病でしたが、主に励まされました。
 モーセの後継者ヨシュアのあと、紀元前1370年頃からサウル王の少し前まで(紀元前1050年頃)の約300年間を士師の時代と言って、多くの士師たちが活躍しました。その一人のギデオンは有名な士師です。彼はしかし、マナセ族に属する一家族の中で一番若く、とても勇気ある軍事的指導者になれそうもなかったのです。彼が、当時イスラエルを圧迫していたミデヤン人を恐れて,酒ぶねの中で小麦を打っていたとき、主の使いが現れて、「勇士よ。主があなたといっしょにおられる」と言いました(12節)。このことばは、決して皮肉ではなく、彼を励ますことばでした。主は、「あなたのその力で行き、イスラエルをミデヤン人の手から救え。わたしがあなたを遣わすのではないか」と命じます(14節).。言い訳を言ってしり込みするギデオンに16節の約束をします。彼は主から励まされ、力を与えられて、びくびくしながらも主の具体的なご命令を“夜”実行します(25-27節).。人々を恐れつつも主のご命令に従うとき、勇気を与えられて実行できるのです。

 II. 父もギデオンをかばい敵から守るので、勇気が出てきます。
 ギデオンが実行したことは、彼の父の家にあったバアルの祭壇を取りこわし、アシェラ像を切り倒し、主のための祭壇を築いて、父の第二の雄牛を全焼のいけにえとしてささげることでした。それほどイスラエルは堕落しており、自分の家に安置した偶像を礼拝していたのです。町の人々が翌朝見たのは、ギデオンがしたことでした(28節)。町の人々は、何とギデオンの父のヨアシュに「あなたの息子を引っ張り出して殺しなさい」と命じます(30節)。父が彼らの要求に従うはずがありません。彼は偶像を礼拝が罪であるとわかり、真の神に立ち返ったのです。彼は偶像の愚かさ、無力さをあざ笑って、皮肉たっぷりに言いました(31節)。皆さんもその意味がわかりますね。
 いじめ問題は簡単に解決するものではないでしょう。しかし、主イエスが助け励まし、力を与えてくださいます。その力は大きくないかも知れません。それでもいいのです。困難を乗り切ることができるのです。そして、家族がいじめられている子どもを守るのです。命がけで守るのです。子どもはまず家に帰ればいいのです。次のステップはまた神さまが教えてくださいます(Iコリント10:13参照)。

  今泉キリスト福音教会 牧師:岡本 昭世 【説教インデックスへ
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