礼拝説教

2010年5月2日

「福音の前進に役立つことを喜ぶ」
ピリピ人への手紙 1章12〜18節

 私たちキリスト者に与えられている使命は、あらゆる所へ出て行って福音を宣べ伝え、人々をキリストのもとに導くことです。しかし多くの場合、時が良くない、場所が悪い、回りの人々が好意的でないなどと、いろいろな理由をつけて、主イエスのことを語ろうとしません。ところが、パウロの場合は全く逆でした。およそ不利と思われる所に置かれていながら、福音が前進したのです。

 I. パウロの投獄が福音を前進させる。
 パウロは今ローマで囚われの身です。それほど厳重ではないにしても、常にローマの兵士たちによって24時間監視され、足は鎖につながれたままでした。そして一定の期間が来ると、皇帝の名の下に裁判が開かれ、ローマの高官たちの前で、裁判を受けたのです。しかし、このようなパウロの身に起こったことが、かえって福音の前進に役に立ったのです。つまり、パウロが投獄されているのは、「キリストのゆえ」であることが、親衛隊の全員とその他のすべての人に明らかになっているからです(13節)。当時の政治・軍事の中心地ローマの、その中心であるローマの兵隊たちに福音が伝えられる機会となったのです。さらに、ローマの教会の兄弟たちの大多数は、パウロが投獄されてたことによって、主にあって確信を与えられ、恐れることなく、ますます大胆に神のことばを語るようになりました(14節)。このように一見マイナスに見える事柄でも、実は福音を前進させたのです。

 II. どんなしかたでも福音が語られるのを喜ぶ。
 このような人々は、二つのグループに分かれていました。(1)ある人々は、ねたみや争いをもってキリストを宣べ伝えています。(2)ある人々は、善意をもってキリストを宣べ伝えています。(1)に属する人々は、純粋な動機からではなく、党派心をもって、キリストを宣べ伝えており、投獄されているパウロをさらに苦しめるつもりです(17節)。(2)に属する人々は、愛をもってキリストを宣べ伝え、パウロが福音を弁証するために立てられていることを認め、応援しています(16節)。このような図式は今日でも変わらないでしょう。教会の中で伝道に熱しな人で、信仰を持った人たちを自分のグループに引き入れて、教会内の分裂、分派を図る人たちがいます。キリストへの純粋な愛に基づかない伝道をしているのです。しかし、パウロは、たとい見せかけであっても、真実であっても、あらゆる仕方で、キリストが宣べ伝えられることを喜ぶのです(18節)。確かに私たちは、パウロのような見方、考え方をすることはむずかしいでしょうが、「福音の前進に役立つ」という一点に目を留めれば、不可能なことではありません。私たちの目指すべき目標です。

  今泉キリスト福音教会 牧師:岡本 昭世 【説教インデックスへ
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