礼拝説教

2010年6月6日

「キリストのへりくだりにならう(1)
─ 互いに人を自分よりもすぐれた者と思う」
ピリピ人への手紙2章1〜5節

 教会が、政党や会社、学校などこの世のさまざまな団体や組織と違う点は、真の意味で一致があるということでしょう。ピリピの教会は、他の教会に比べて一致のある理想的な教会でした。それでも少しの不一致がありました。それでパウロは、本当の一致があるようにと求めたのです。

 I. 一致を保ち、心を合わせ、志を一つにしなさい。
 コリントの教会のように、兄弟姉妹が互いに分裂、分派をつくり、有力な指導者たちにつくのは、非常に悲しいことです。それに比べてピリピの教会は理想的でしたが、パウロはなお一致を呼びかけています。その前に必要なのは、「キリストにある励まし」と「愛の慰め」、「御霊の交わり」、「愛情(深い同情心)とあわれみ」の4つの条件ですが、それは事実あるようです。だから、そうであるなら、パウロは、私の喜びが満たされるように、あなたがたは「一致を保ち」(同じことを考えること)、「同じ愛の心を持ち」、「心を合わせ」(同じ心を持つこと)、「志を一つにしてください」(一つの考えであること)とお願いするのです。もともと分裂はないのですが、より一層の一致を願っています。それこそが、教会がしっかりと立ち、外敵から教会を守り、外に向かって伝道して行くために必要な要素だからです。

 II. 互いに人を自分よりすぐれた者と思いなさい。
 このような一致があれば、次のようなすぐれた徳性を目指すことができます。
 第1に、何事でも自己中心(あるいは「党派心」)や虚栄(むなしい栄誉)からすることがなく、本当のへりくだりの心を持つことができます(3節)。へりくだりや謙遜は、クリスチャンにとって一番むずかしい徳と言われる性質です。しかし、主イエスを見上げると、謙遜な思いが与えられ、互いに人を自分よりすぐれた者と思うことができます。一般に他の人をけなすことで、自分の優越感を保つのですが、キリストにある幸いは、相手のすぐれた点を認め、同時に自分の良さも認めることができることです。
 第2に、自分のことだけでなく、他人のことをも顧みることができます(4節)。パウロのこの命令を実行する力が与えられるからです。他の人の様々な問題や苦しみ、悲しみ、痛みに心を留める余裕が与えられます。決して自分が豊かになったからではありません。主から他の人と共感する心を与えられるからです。これらがキリストのへりくだりにならうことの具体的な内容です。

  今泉キリスト福音教会 牧師:岡本 昭世 【説教インデックスへ
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