礼拝説教

2011年1月9日

成人としてのしるし
ルツ記 2章1〜16節

 聖書の中には、私たちが模範として従っていくべき人々が数多く登場しています。その中で女性のほうが男性より多いように思われます。個々人で生き方や信仰のあり方が違いますから、一概には言えませんが、主を第一として主に忠実に従っている人たちの中に、何人かの女性が挙げられます。今朝はルツの生き方から「成人としてのしるし」を見てみたいと思います。

 I. 見知らぬ世界でも進んで働きに出る
 ルツと姑のナオミは、ききんが終わって、収穫も期待できるほど回復したことを知って、ナオミの故郷ベツレヘムに帰ってきました。ルツにとっては、見知らぬ土地であり、友人知人は一人もいなかったので、さぞかし心細かったと思われます。しかし、彼女には姑を養う務めと重荷がありました。ルツはゆっくりと休む間もなく、畑に行かせてくださいとナオミに申し出ました。親切にしてくれる人のあとについて、落ち穂を拾い集めるためです。彼女は姑の許可をもらって、早速、刈り始めていた畑で落穂を拾い集めました。旧約時代、貧しい者や在留異国人の生活の保証として、収穫を刈り入れるとき、畑に落ち穂やぶどうの実を残して置くようにと主が定めています(レビ記19:9〜10)。ルツが拾い集め始めた畑は、はからずもナオミの夫エリメレクの一族に属するボアズの所有する畑でした。こうして物語がルツとナオミが幸せになるように展開して行くのですが、ルツがナオミに対する責任感から、この初めての土地で進んで働きに出ていることに注意しましょう。成人としてのしるしは、まず、 どんな環境でも自分と家族を養うという責任感と実行力と言えるでしょう。

 II. 周りの人と良好な人間関係を築ける
 ルツが勤勉で控えめな女性であり、刈る者たちの世話をしている若者と主人のボアズから好意をもって受け入れてもらえたことは幸いなことでした。彼女はていねいに若者の許可をもらって、畑で朝からずっと休む間もなく立ち働きました。その様子をボアズも気が付き、若者に尋ね、若者は主人に答えています(5〜7節)。彼女はけっして人々から好意を得ようとか、男性を惹きつけようと意識して行動していません。あくまでも生活の糧を得ることを第一にして、そのために今、与えられている環境を感謝をもって受け入れ(10、13節)、自分にできる最大限の努力をしているのです。それを見たボアズが彼女に好意を持ち、できるだけのことをしてあげたいと思ったこともごく自然と言えるでしょう(8〜9、14〜16節)。彼女の誠実さは、すでに実績があり、ボアズはそれを知っています(11〜12節)。このように周りの人と良好な人間関係が築けることが、成人としてのもうひとつのしるしと言えるでしょう。そのような人は、自立して最後まで自分の責任を果たせる人と言えます。

  今泉キリスト福音教会 牧師:岡本 昭世 【説教インデックスへ
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