2005年11月06日
「大いなる奇蹟」
マルコの福音書6章30〜44節
 主イエスが働かれた2000年前も、500年前のルネッサンスや宗教改革の時代も、そして豊かな国と貧しい国との格差がますます開いてしまうのではないかと思われる現代でも、神様は人が衣食住を必要としていることを十分ご存じでした。歴史も自然もご支配なさっておられながら、いつも直接介入されて、例えば食糧問題を一挙に解決されようとはなさいませんでした。それには私たちの理解できない主の深いお考えがあるものと思われます。5つのパンと2匹の魚で5000人の人たちをおなかいっぱい食べさせた「大いなる奇蹟」は、主のお考えを知るための一つのヒントを与えてくれるかも知れません。

 I. 主は私たちの霊と肉の必要を先刻ご存知で、ともに豊かに与えてくださいます。
 今日取り上げるパンの奇蹟は、4つの福音書に記された唯一の奇蹟で(復活の奇蹟を除けば)、それだけ重要な奇蹟と言えます。主イエスと弟子たちはゆっくりと休んで食事をする暇もなく(31節)、大勢の群衆が後を追いかけて来ました。ここガリラヤ湖の北東岸と思われる寂しいところにも群衆がやって来ました。舟から上がられたイエスは、彼らをご覧になり、「彼らが羊飼いのいない羊のようであるのを深くあわれみ、いろいろと教え」(34節)、病気を直されました(マタイ14:14)。このように私たち人間にとって一番必要なのは霊的な糧です。ヨハネの福音書を見れば、この奇蹟を行った後、「わたしは天から下って来た生けるパンです」とご自分に永遠のいのちがあることとご自分を信じる者にいのちを与えることができることをはっきりとおっしゃいました(6:51)。同時に今は時刻も遅くなり、大勢の群衆には何も食べるものがありません。弟子たちには何もできないことをわからせた上で(マルコ6:37)、彼らが見つけてきた5つのぱんと2匹の魚を用いて、男だけで5000人を十分に食べさせる奇蹟を行ったのです(41-42節)。主は私たちが食べ物を必要としていることをもよくご存じであり、必要に答えてくださるのです。

 II. 主は私たちの賜物も大いに用いられます。
 弟子たちは主に命じられて、群衆の中に入って、パンを見つけて来ました。わずか5つのパン、それにたった2匹の魚です。しかし主はそれらを用いて次々にパンを増やし、また魚も増やして大勢の人たちを食べさせたのです。弟子たちも大切な役割を果たしたました。私たちにとっても同じです。私たちの小さな賜物、才能、技術、知識、学問、時間、お金などを主の許に持って行きましょう。主は、それらを何倍にも増やして大いなる主の働きのために用いてくださいます。弟子たちはそのことをはっきりと学んだことでしょう。そして私たちも今大切なことを学んだのですから、主のもとに与えられたものを持っていきましょう。主は私たちの小さな賜物を用いてくださいます。
  今泉キリスト福音教会 牧師:岡本 昭世 【説教インデックスへ
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