2006年09月17日
「家族関係の修復を目指して--ヨセフ物語から学ぶこと」
創世記 44章18節〜45章15節

 多くの人がヨセフ物語を好きなのは、ヨセフに自分が目指している理想的な姿を重ね合わせているからかも知れません。ヨセフの波乱に富んだ人生--父親から特に愛されたために兄弟たちから憎まれ、エジプトに奴隷として売られ、17年後にパロの重臣として仕えるまでの苦しい生活とその後の輝かしい活躍は非常に魅力的です。しかし、何よりも私たちを感動させるのは、自分を憎んでいた兄弟たちとの22年振りの涙の再会です。その再会の中に家族同士の赦し合いについてのヒントがあるようです。

 . ヨセフは兄弟たちを心から赦しました。
 ヨセフがパロの見た夢を解き明かしたとおり、エジプト全土に7年間の大豊作とそれに続く7年間の大ききんが始まりました。ヨセフの進言の通り、エジプト全土特にパロの穀物倉には海の砂のように非常に多くの穀物が蓄えられました。ききんはヤコブのいたカナンの地にも及んでいたので、ヤコブは息子たち10人をエジプトのパロの所に送り出して穀物を買ってくるように命じました(42:1-5)。権力者になっていたヨセフは兄弟たちが自分にひれ伏すのを見て、それとわかりましたが、自分のことは明かしませんでした(6-8節)。兄弟たちをこの国をうかがう間者だと主張し、シメオンを人質に取り、十分な穀物を与え、カナンに返しますが、必ず末の弟を連れてくるように命じました(9-25節)。このような中で兄弟たちはかつてヨセフにしたひどいことの罰を受けているのだと反省していることがわかります(21-22節)。ヨセフはそれを知りましたが、彼らが本当に悔い改めているのか、自分の父親を愛しているか、兄弟同士いたわり合うように変えられているかを確認する必要がありました。それは一人残っているベニヤミンを父親のヤコブから引き離して連れてくることです。二度目にヨセフの所に来た彼らを見、特にベニヤミンを見たときには、胸が熱くなり、急いで奥の部屋に入って、泣いたほどです(43:29-30)。しかしヨセフは、さらに確認のため、ベニヤミンだけを自分のもとで奴隷にすることを計りました(44:1-10)。しかし、ユダが自ら奴隷となり、ベニヤミンを自由にして、父親の所に帰してほしいと切々と訴えました(44:18-34)。ついにこらえきれずにヨセフは兄弟たちの前で泣き、自らを明かしました(45:1-5)。兄弟たちはどんなにびっくりしたことでしょう。ヨセフは兄弟たちの悔い改めと父ヤコブへの愛が真実であることを確認したので、兄弟たちを心から赦しました。

 . ヨセフは自分がエジプトに来たことが主のみこころだと知りました。
 「今日のみことば」の45章5節は大変重要な真理を教えています。ヨセフはこれまでの歩みを振り返るときに、自分の上にしっかりとした神の導きの御手があることに気がつきました。エジプトに連れて来られてから、神の愛の御手が常にありました。だから、どこに置かれても与えられた仕事が祝福され、主人や監獄の長にそしてパロに全面的に信頼されたのです。こうして生活している中で兄弟たちに対する怒りや恨みは消えていたのではないでしょうか。7-8節も大切なことばです。心から人の罪を赦すことができるためには、神の導きとみこころを知ることが大切なのです。

  今泉キリスト福音教会 牧師:岡本 昭世 【説教インデックスへ
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