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「歴史を支配し、イスラエルを導かれる主」
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使徒の働き 7章1〜18節
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天地とそこに住むすべてのものを造られた神は、人間の営みにも深く関わっておられ、これまでの人類のすべての歴史を導びかれました。確かに聖書を離れて歴史を見て行くと、一見神と関わりなく国々の興亡が進んで行くように思われます。しかし、聖書は,神が歴史をすべてご支配なさっていて、国々の興亡の因果関係も、主との関わりの中で明らかにしています。イスラエルの歴史は、まさにその格好な見本と言えるでしょう。議会に立たせられたステパノの弁明は、まず「歴史を支配し、イスラエルを導かれる主」から説明しています。
I. 主はアブラハムを導かれた。
ステパノは弁明の中で、最終的には彼が告訴されている2つの罪状ー彼は聖なる宮を汚し、モーセの律法に逆らうことばを語り続けたーを取り上げています。つまり彼は、主の御住まい・神殿の本質を明らかにし、あなたがたこそ父祖たちと同様に律法に逆らっている、と糾弾したのです(48-53節)。しかしその前に、主ご自身が彼らの父祖アブラハムをメソポタミヤからハランの地へ、そしてカナンの地へと導いた歴史を振り返ります(2-4節)。このように主のお告げを受けて、まだ土地も子孫も与えられなかったにも関わらず、アブラハムはただ主の約束だけを信じて従ったのです(使徒5-6節)。さらに神は、遥か400年も先のイスラエルの苦難の運命をも予告されました(6-7節)。出エジプト記から私たちは、主の預言がその通りになったことを知ることになります。やがてアブラハムに約束の子イサクが与えられ、イサクにヤコブが生まれました(8節)。
II. 主はヤコブの子ヨセフを導かれました。
ヤコブに12人の子どもたちが生まれましたが、彼らからイスラエル12部族に発展しました。そのうちのひとりヨセフは兄たちにねたまれ、エジプトに売られ(9節)、苦しい様々な経験をしました。しかし,神はヨセフとともにおられ、彼をあらゆる苦難から救い出し、エジプトの王パロの前で、恵みと知恵をお与えになったので、パロは彼をエジプトと王の家全体を治める大臣に任命しました(10節)。このような時にエジプトとカナンとの全地にききんが起こり、ヤコブ一族には食物がなくなりました。しかし、ヤコブはエジプトに穀物が十分にあると聞いて、息子たちを遣わし、このような中でヨセフは自分のことを兄弟たちに明かし、ヨセフの家族のことがパロの知るところとなりました。こうしてヨセフは父ヤコブと親族75人をエジプトに呼び寄せ、彼らはエジプトに住み続け(14-15節)、やがてヨセフを知らない別の王の支配する時代になりました(17-18節)。
ききんが起こる理由は、明らかでありませんが、主はそのすべてを愛するヨセフに告げ知らせました。アブラハムに告げられた約束と祝福(創世記12:1-3)は繰り返され(13:14-17、15:5-7、17:1-8ほか)、イサクに引き継がれ(26:24)、ヤコブにおいて再確認されました(28:12-15)。そして主は、ヨセフを通してイスラエルの危機を救ったのです。このように主は、最初からイスラエルを導かれ、ご計画通り実行されたのです。「今日のみことば」の詩篇33:10-11参照。 |
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