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「神は指導者を備えてくださる」
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使徒の働き 7章17〜34節
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世界史や日本史を見るとき、諸国の興亡や一国の転換点には、必ず大きな働きをした指導者がいたことに気づきます。イスラエルの歴史においても同様で、数多くの指導者がいました。その中でもモーセは同胞イスラエルの人々をエジプトの奴隷の状態から解放し、40年の荒野の生活を導いた傑出した指導者でした。しかし、そのような指導者も、時には長い間の訓練を必要とすることがあります。そのモーセを見てみましょう。
I. 指導者には長い準備期間が必要な場合があります。
エジプト全土を治めていたヨセフが死んで、しばらく経ち、彼のことを知らない別の王が支配するようになったとき、エジプトに住んでいたイスラエルの民の状況に、大きな変化が起きました。すでに400年の歳月が流れていましたが、その間イスラエルの民はエジプトの中にふえ広がっていました。その王はイスラエルを奴隷とし、数々の苦役を与え、大きな建造物を造らせました。また、幼子をナイル川に捨てさせ、生かしておけないようにしました(17-19節)。このような時にモーセが生まれ、一度はナイルに捨てられましたが、パロ王の娘に拾われました。モーセは彼女のもとで育てられ、エジプトのあらゆる学問を教え込まれ、ことばにもわざにも力がありました(20-22節)。40才になった頃、モーセは同胞イスラエルを顧みる心を起こし、自分の手で同胞を救うのを、みなが理解してくれるものと考えました。しかし、彼らは理解せず,自分たちの指導者として受け入れませんでした(23-28節)。こうしてモーセは逃げて、ミデアンの地に身を寄せ、その地の娘と結婚し,二人の男の子をもうけ、40年間姑の羊を飼いました。モーセがどんなに自分は同胞イスラエルを救う指導者だと主張しても、人々は認めませんでした。準備の時が必要だったのです。その期間も神が決められます。
II. 神はちょうど良い時に指導者を立ててくださいます。
モーセにとって40年の期間は決して短くはなかったでしょう。姑の羊を飼う仕事は一見無駄な仕事に見えるかもしれません。しかしやがて大勢の群衆をエジプトから導き出し、荒野で生活させるのに、非常に役立ったに違いありません。神はちょうど良い時に、モーセにご自身を現しました。それはシナイ山の荒野で、燃える柴の中の炎の中でした(30節)。モーセは、今までそのような姿で神が現れるのを見たことがありませんでしたから、きっと驚いたことでしょう。神はご自分の自己紹介をされ、震え上がったモーセに、こう言われました。「あなたの足のくつを脱ぎなさい。あなたの立っている所は聖なる地である。」(32-33節)続いてのことばこうでした。「わたしは、確かにエジプトにいるわたしの民の苦難を見、そのうめき声を聞いたので、彼らを救い出すために下って来た。さあ、行きなさい。わたしはあなたをエジプトに遣わそう。」(34節)人間の考えではなく、神の考えとご計画こそしっかりと立ち、歴史を動かします。箴言にこうある通りです。「人の心には多くの計画がある。しかし主のはかりごとだけが成る。」(19:21)
主はご自分の主権とご計画の中で、最もふさわしい指導者をあらかじめ備え、必要な時に立ててくださるのです。 |
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