使徒たちおよびその他の弟子たちは、これまで主イエスのご命令に従って福音を宣べ伝えて来ましたが、なお地域的に限られていました。しかし、これからアンテオケを拠点として「地の果て」までを目指した伝道を開始します。パウロの第1次伝道旅行が始まります(13:4-14:28、AD47-48年頃)。これからしばらくパウロとバルナバの宣教を見て行きましょう。
I. 宣教開始に先立って備える。
サウロ=パウロは、主イエスにお会いし、救われたとき、主から将来イエスの福音をおもに異邦人に伝える器として選ばれ、苦難の中で伝えることが予告されました(9:15-16)。しかし本格的な伝道開始までには、約15年間待たなければなりませんでした。パウロの個人的な思い願いよりも、主イエスの導きが必要でした。アンテオケの教会には、大勢の信徒とともに、バルナバとサウロを含め何人かの預言者や教師がいました。彼らが礼拝し、断食していると、聖霊が「バルナバとサウロをわたしにために聖別して、わたしが召した任務につかせなさい」と言われました(2節)。聖霊は人々に働きます。ここでは教会の預言者の一人に働いて、主イエスのおことばを伝えたと思われます。教会は、断食と祈りをして、二人の上に手を置いてから、送り出しました(3節)。今日でも牧師の任職式や宣教師の派遣式などに際し、選ばれた人たちが手を置いて祈ります。このようにアンテオケの教会は、最も有力な指導者二人を宣教のために送り出したのです。
II. 宣教の結果は二つに分かれる。
「使徒の働き=使徒行伝」は、別名「聖霊行伝」とも言われ、使徒たちを本当の意味で動かした聖霊に注目すべきなのです。バルナバとサウロは、聖霊に遣わされて、セルキヤからキプロスへ、その島を東のサラミスから巡回して、パポスまで行き、そこでにせ預言者で、名をバルイエス(イエスの子という意)というユダヤ人の魔術師に出会いました(6節)。この男は地方総督セルギオ・パウロのもとにいて、魔術によって総督にアドバイスしていたのでしょう。総督は聡明な人だったので、バルナバとサウロを招き、神のことばを聞きたいと思っていました。ところが、この男は、二人に反対して、総督を信仰の道から遠ざけようとしたのです。彼の本性を見抜いていたサウロ=パウロは、「ああ、あらゆる偽りとよこしまに満ちた者、悪魔の子、すべての正義の敵」と言って、彼に主のさばきを宣告しました(10-11節)。するとその通りかすみとやみが彼をおおったので、彼は一人では歩けなくなってしまいました。
総督が信仰を持ったかどうかは記されていませんが、主イエスを信じた者は誰でも「神の子ども」となります。しかし、人々が主を信じるのを妨げる者は「悪魔の子ども」であり、主の救いから一番遠いのです。「今日のみことば」と比べてみましょう。 |