今日の教会でも、初代教会と同様に、いろいろな問題が起きます。それは教会員同士の人間関係の問題であったり、金銭の問題であったり、もっと教理的な問題ーいわゆるカリスマに関することやきよめの問題であったりします。それらの問題の取り組み方や解決方法を初代教会から学ぶことは賢明なことです。使徒の働きには歴史的な出来事を通して、その中に普遍的な原則を示している場合が多いからです。
I. みなで決めたことを各教会に伝える。
エルサレム会議で集まった使徒たちや長老たちが議論し、最終的にまとめたものは、異邦人のキリスト者に最小限の4つのルールを守らせることでした。「偶像に供えて汚れた物と不品行と絞め殺した物と血とを避けること」がルールの内容でした。この4つの取り決めを守ることは、異邦人からキリスト者になった人たちにとってそれほどむずかしくありません。そしてこのルールを異邦人クリスチャンが守ることが、教会の中で、厳格なユダヤ人からクリスチャンになった人々と共存できる道でもあります。このような原則を多くの人たちが共有できれば、たといエルサレムから使徒たちの許可なく、勝手な教えを携えて地方の教会にやって来ては、純粋なクリスチャンを動揺させても、間もなく彼らは立ち直ることができるでしょう。これまでかなり多くの兄弟たちの心は乱れましたが(24節)。
みなで集まり侃々諤々の議論をすることは、時には必要な事です。しかし、神の導きを求めて、聖霊に導かれて討論すべきです。その結果出された結論は、みなが納得できるものでしょう。なぜなら聖霊と会衆が決めたことですから(28節)。
II. 各教会に伝える人たちの人選も大切である。
この異邦人割礼の問題は、みなで決めたルールを各教会の兄弟たちに伝えることによって解決へと向かって行くでしょう。ここで大切なことは派遣する人たちの人選んです。エルサレムに集まった全員が二人を選びました。兄弟たちの中の指導者たちである、ユダとシラスでした(22節)。彼ら二人は優れた指導者で、バルナバおよびパウロとともにアンテオケに下って行き、集まった教会の人々に携えて来た挨拶状を手渡し、それを読んだ彼らは、励まされ喜びました。ユダとシラスはまた預言者でもあったので、多くのことばをもって励まし、また力づけました(30-32節)。バルナバやパウロのほかにいわば第三者の立場にある指導者たちが、人々に問題点をわかりやすく説明することは大変意義のあることです。それによって彼らは安心して新しいルールを守ろうとするでしょう。
このようにある所で問題が起きた時は、全体が集まれる大きな場所で会議を開いて真剣に討議し、最良と思われる結論を出し、それを文書にしたため、問題が起きた所に選ばれた人が携えて行き、内容を詳しく説明することが大切です。そうすれば、事態は解決へと向かって行くでしょう。 |