パウロは伝道者としての使命をもって一生を貫いた人です。今でこそ多くの国々に宣教師が派遣されて、人々に福音を語り、救いに導いていますが、パウロはそれを最初の始めた人です。パウロはこれから第2回目の伝道旅行に出かけます。その伝道旅行を成功させるためには、必要な備えが要ります。
I. ふさわしい伝道チームを組むことが必要である。
2回目の伝道旅行を前にして、だれとだれがチームを組み、出かけるかが重要な問題でした。結果的に2チームができました。バルナバとマルコのチームとパウロとシラスのチームでした。パウロはマルコをいっしょに連れて行かないほうがよいと考えました。その理由は、マルコは前の旅行のとき、パンフリヤで一行から離れてしまったからです(38節、13:13)。マルコにはそれ相応の理由があったのでしょうが、パウロにとって、いっしょに伝道するのは適切ではないと考えたのでしょう。一方バルナバはマルコを弁護したようで、この二人が組んで伝道旅行に出発しました。彼らは船でキプロスに渡りましたが、キプロスはバルナバの故郷でした(5:36)。またマルコはヨハネ・マルコと呼ばれ、エルサレムの大きな家は彼の母の家で、みなが集まり祈っていた所です(12:12)。このように様々な条件の中で信仰や考え方がマッチする人たちがチームを組むべきでしょう。そうしないと福音を力強く語ることができません。伝道は成功しないでしょう。
II. 伝道の対象者につまずきを与えないことが大切である。
パウロは伝道旅行の途中ルステラでテモテに会い、彼を連れて行こうとしました。テモテは信者であるユダヤ婦人(ユニケ、II テモテ1:5参照)の子で、ギリシヤ人を父としていましたが、ルステラとイコニオムとの兄弟たちの中で評判の良い人でした(1-2節)。テモテは以後、パウロの霊的な息子として生涯パウロに仕えた真実の同労者となった人です。彼がユダヤ人の血を引いていながら、割礼を受けていないと、ユダヤ人にとってつまずきとなります。異邦人を対象にした伝道なら問題はないでしょうが、ユダヤ人相手ではできるだけ障害となるものを取り除いておくことが賢明です。状況は時代によって異なります。パウロはユダヤ人を救いに導くためには、ユダヤ人のようになりました。異邦人を救いに導くためには異邦人のようになりました。より多くの人を獲得するためです。「今日のみことば」にある通りです(I コリント9:19-20)。
現代に生きる私たちも同じ心構えが必要です。私たちが接している人々と同じ立場に立つように務め、同じ目線で接するならば、私たちが語る福音は、きっとその人の心の中に入って行くでしょう。 |