礼拝説教

2009年8月16日

「平和をつくる者」 
マタイ5章9節、エペソ2章11〜22節

 太平洋戦争が終わって64年になりました。この大戦でわが国は310万人の人々が犠牲になったと言われています。戦場で多くの人たちが尊いいのちを失っただけでなく、日本国内でもアメリカ軍の空襲などによって多くの人たちが、突然いのちを絶たれました。そして今でも世界の多くの紛争地域で、尊いいのちが失われています。戦争や争いはどうしてもなくならないのでしょうか。でもまだ望みがあります。その望みを聖書から見いだしましょう。

 I. キリストは隔ての壁を打ちこわされた。
 イエスさまが来られるまで、神殿には異邦人の庭があって、異邦人はその庭にのみ入ることを許され、そこで神様を礼拝しました。しかしそこより内側に入れば、ユダヤ人から殺されても文句は言えませんでした。その上多くの異邦人はまことの神様を知らず、イスラエルの人々の受けている契約や希望から除外されていました(11-12節)。しかしキリストがこの世に人となって来てくださり、十字架にかかってくださったので、ユダヤ人と異邦人とを隔てている壁であり、敵意---それはさまざまな規定からなりたっている律法---が、廃棄されました。こうして両者はキリストにあって一つのからだにつくりあげられたのです(14-15節)。主イエスの十字架は、ユダヤ人と異邦人との間の敵意をなくさせただけでなく、世界のあらゆる国々の間での敵意を取り去り、平和な関係を実現させる強力な基盤を築いたのです。キリストにあって人々は平和な関係を持つことができるのです。

 II. キリストにあってすべての人は神と和解した。
 キリストの十字架は、ユダヤ人や異邦人、すなわち世界中のすべての人々をこれまで敵対していた神様と和解させる尊いわざです(16節)。キリストにあってすべての人は神様に近づくことできるようになり、すべての人はキリストにあって一つになれるのです。それが教会です(18-20節)。人として来られたキリストご自身が、またペンテコステの時からは聖霊に導かれて弟子たちが、遠くにいた異邦人にも、近くにいたユダヤ人にも平和の福音を宣べ伝えました(17節)。きリストにあって、人々は神と和解し、心の中に平安・平和を与えられて、今度は彼らが、和解の福音を人々に語って、人々を平和な民に変える役割を果たすのです。
 「平和をつくる者は幸いです」と主イエスは言われました。キリスト者こそ積極的に平和をつくり出すことができます。神の子どもと呼ばれる者として、平和の実現のために努めることは極めて自然であるからです。その努力の多くは教会の働きです。教会すなわち神の家族になって初めて、世界の人々は一つになり、世界に平和がもたらされます。私たちの希望もそこにあります。

  今泉キリスト福音教会 牧師:岡本 昭世 【説教インデックスへ
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