旧約聖書の中には、救い主イエス・キリストについての預言が多くあります。中でもイザヤ11:1-5,6-9は7:14,9:6-7とともに重要な預言の箇所です。主イエスのお誕生よりおよそ700年前にイザヤは、当時の人たちと共に救い主の来臨を待ち望み、神様からの啓示を与えられて、やがてイスラエルに与えられる救い主について預言しました。その方についてどんなことがわかるでしょうか。
I. 救い主はダビデの家系から出る。
1節の「エッサイ」はダビデの父です。「根株」とは、幹が切り倒されて残った株のことです。ダビデ王朝は、紀元前586年にバビロンの来襲によって滅亡し、多くの人々がバビロンに連れて行かれました。しかし王朝が全く途絶えてしまったのではありません。切り株には根があって、枯れていないように、「根株」から新芽が生え、「根」から若枝が出て実を結びます。それらはやがてイスラエルに来臨するメシヤ・救い主を指しているのです。その方は処女から生まれる男の子であり(イザヤ7:14)、イスラエルの人々のために生まれるみどり子です(9:6)。長い間待ちに待った後で、紀元4-6年頃ユダヤの小さな町ベツレヘムで救い主がお生まれになったのです。
II. 救い主は聖霊に満たされ、すばらしい資質を備えておられる。
その方の上には主の霊がとどまります。それは次の3つの資質となって現れます(2節)。まず「知恵と悟りの霊」です。「知恵の霊」とは、物事を判断し、正しくさばくことのできる能力であり、「悟りの霊」とは、物事の真実を見抜く能力です。ソロモンはそれらを豊かに持っていました。しかし救い主はソロモンよりはるかにすぐれているのです(I列王記3:12,28、3:16-28、4:29-30、マタイ12:42参照)。
次に「はかりごとと能力の霊」です。「はかりごと」は不思議な「助言者」(イザヤ9:6)と同根のことばです。「能力」は「力ある神」(9:6)と同じような資質を指しています。救い主として生まれてくださる方は、すばらしいカウンセラーとして、最も適した助言を与えてくださるとともに、天地万物を造られ方、人をいやすことのできる力を持った方です。
第3に、「主を知る知識と主を恐れる霊」です。救い主は、主との人格的な交わりの中で、主について豊かな知識を与えられ、また神様を畏敬の念をもって恐れる方です。まさしくイエスさまこそ、父なる神様をよく知っておられ(ヨハネ8:55)、真に敬っておられたのです(8:49)。だから救い主は正しいさばきができるのです(イザヤ11:3-4、ヨハネ8:14,16)。この方を信じ、信頼して行きましょう。 |