礼拝説教

2010年2月7日

「責めるのではなく、励ましのことばを」
使徒の働き27節13〜26節

 私たちの人生で一番大切なものは、いのちと言えるでしょう。だから、いのちが失われるのを最も嫌いますし、例えば病気などで親しい人のいのちが危ういとき、どんな犠牲を払っても、助けたいと思うでしょう。パウロと弟子たちを含め、276人もの人たちを乗せて、ローマに向かう途中、直ぐ近くの港へ行こうと「良い港」を出帆して、難破してしまいました。このようなときパウロは、百人隊長や乗り組み員にどのようなことばを与えることができたでしょうか。

 I. 判断ミスの結果、いのちの危険にさらされる。
 パウロは、出帆の前に、この航海がいのちさえも失われるような危険なものとなると、警告し、この時期に航海しないように注意しました。しかし、総責任者の百人隊長は、パウロの意見よりも航海士や船長のほうを信用して、出帆してしまいました。冬を過ごすのには、この「良い港」よりは同じ島(クレテ島)の西側にあるピニクスへ行きたいと願い、大多数の意見も同じでした。時あたかも出帆せよとの合図のように、穏やかな南風が吹いて来たので、人々はこの時とばかり、錨を上げて、クレテの海岸に沿って航行しました。しかし、まもなくユーラクロンという暴風が陸から吹き下ろして、船はそれに巻き込まれ、仕方なく吹き流されるままにしました。そうこうするうちに暴風に激しく翻弄されて、積み荷を捨て始めました。しかし、幾日も太陽も星も見えず、激しい暴風が吹きまくるので、助かる最後の望みも今や断たれようとしていました。私たちの人生にも言えることですが、しばしば判断を誤り、時には大きな危険を体験することがあります。

 II. ミスを認めさせ、最善を尽くすように元気づける。
 人々は、このような絶望的な中で、長いこと食事を取りませんでした。パウロは、みなの中に立って、次のようなことを言いました。「皆さん。あなたがたは私の忠告を聞き入れて、クレテを出帆しなかったら、こんな危害や損失を被らずに済んだのです。しかし、元気を出しなさい。あなたがたのうち、いのちを失う者はひとりもありません。失われるのは船だけです。」(22節) 意気消沈していたリーダーたちや人々を非難することは、誰でもしがちですが、むしろ大切なことは、彼らがした判断の誤りを認めさせることと、その中でもっとも良い道を示してあげることです。パウロがこのように確信を持って断言できたのは、御使いからのメッセージがあったからです(24節)。パウロ自身も、以前から与えられた使命と合わせて、御使いが告げた通りになると神によって信じていましたから、再度彼らを励ましました(25節)。私たちもパウロのように、最も危険な時に冷静に賢く振る舞い、必要な人たちに適切なアドバイスができるといいですね。

  今泉キリスト福音教会 牧師:岡本 昭世 【説教インデックスへ
静岡県富士市今泉2640-15 TEL&FAX:0545-52-6382