礼拝説教

2010年2月14日

「漂流の後に安全の地へ」
使徒の働き 27章27〜44節

 これまで見て来たように、パウロはこのローマへの航海で大嵐に遭ったのですが、その前にも難船したことが3度、一昼夜、海上を漂ったことがありました(IIコリント11:5)。これらの経験を生かし、同時に最も大切なことですが、主からの励ましと導きを与えられて、彼は漂流している船の中で、重要な指導的役割を果たしました。

 I. 全員が同じ行動を取るように進言した。
 船がクレテの港を出て直ぐに嵐に遭い、とうとう14日目の夜になりました。パウロたちは地中海の真ん中( 当時このあたりをアドリヤ海と呼んでいました)を漂っていましたが、どこかの陸地に近づいているように感じられたので、水夫たちが水深を測ってみると、果たして、40メートルほど、もうしばらくして測ると30メートルほどになっていました。これからの大きな問題は、どこかで暗礁に乗り上げはしないか、という心配です。ところが、水夫たちは船から逃げ出そうとして、小舟を海に降ろそうとしたのです。パウロは、百人隊長や兵士たちに、「あの人たちが船にとどまっていなければ、あなたがたも助かりません」と言いました(31節)。水夫たちがいなくなったら、これからの船の取り扱いにおいて、大きな支障を来すことになるでしょう。その上「神はあなたと同船している人々をみな、あなたにお与えになったのです」という御使いのことばに反することになります(24節)。パウロが果たした役割は極めて大きいと言わざるを得ません。主が確かにパウロをお用いになったのです。

 II. 元気になるために全員に食事を取ることを勧めた。
 パウロの進言を受けて、兵士たちは小舟の綱を断ち切って、水夫たちの企てを止めさせました。パウロは次に一同に食事を取ることを勧めました。これまで、嵐の中で揺れに揺れている船の中で、みなは食事らしい食事を取ることができなかったのです。これから上陸するまで、なお体力も必要ですから、最も適切なアドバイスといえるでしょう。ここでも、パウロが百人隊長に代わって、指導力を発揮しています。主イエスにならって、彼はパンを取り、一同の前で神に感謝して、それを裂いています(35節)。その後も色々な危険な出来事が起きました。特に船が座礁して、へさきがめり込んで動かなくなり、兵士たちが囚人たちを殺して逃げないようにしようとしたことがありました。しかし百人隊長はパウロを助けました(43節)。主が百人隊長の心を動かしたのですね。こうして、 同船していた276人全員が無事に陸に上がりました。 パウロのように、物事を処理する時に、一番必要なことをまずすることができ、必要な時に適切なアドバイスをすることができればいいですね。しかしながら、私たちが忘れてならないのは、主のみ守り、助けです(詩篇121篇7〜8節参照)。

  今泉キリスト福音教会 牧師:岡本 昭世 【説教インデックスへ
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