長い間かかりました使徒の働きの説教は、先週終りました。本日はいわばまとめとして、主イエスが弟子たちに約束されたおことばを中心に、使徒の働きを振り返ってみたいと思います。主の約束はどのように実現して行ったのでしょうか。
I. 使徒たちは聖霊によって力を与えられた。
使徒の働きは(以前は「使徒行伝」と呼ばれていました)、別の言い方で「聖霊行伝」と言われています。本書の全編にわたって聖霊の著しい働きを見ることができるからです。つまり聖霊ご自身が使徒たちの働きを進めて来たと言えるのです。主イエスがよみがえられてから40日間弟子たちに現れて、神の国のことを語りましたが、一つの大きな約束をされました(4-5節)。その約束の「聖霊」は、主が天に昇られてから10日目のペンテコステの日に下り、120人ほどの弟子たちがまず初めに「聖霊のバプテスマ」を受けました(2:1-4、33)。ペテロは聖霊に満たされ、力強くメッセージを語り、その日3000人ほどが悔い改めて、バプテスマを受けました(41節)。時を置かずペテロは、ヨハネとともに捕らえられ、ユダヤ人の指導者たちの前に引き出されたとき、聖霊に満たされ、力強くよみがえりのイエスを語り、この方以外に救いはないと強調しました(8-12節)。聖霊を受ける前のペテロを始め使徒たちには考えられなかったことですが、彼らは聖霊によって、主イエスが言われたことなさったことのすべてを理解し、かつ力を与えられて、力強く福音を語ることができたのです。
II. 使徒たちは聖霊によってイエスの証人となった。
使徒たちに与えられた務めは、「イエスの証人となる」ことでした。使徒たちはイエスの復活の目撃者です。使徒たちは主イエスから使徒としての任命を受け、3年数ヶ月主とともに生活し、教えと訓練を受け、主がなさった数々の奇蹟を目撃しました。しかし、使徒としての最大の資格は、十字架にかかって死なれ、3日目によみがえられたイエスの目撃者であることです。彼らは、聖霊が与えられて、すべての真理が理解でき、力を与えられ、エルサレムから始まって地の果てにまでイエスの証人となって伝道しました。使徒の働きの30年(紀元30〜61年頃)に及ぶ記述は、主イエスが約束し、命令した1章8節のとおり、エルサレム、ユダヤとサマリヤの全土および地の果てにまで使徒たちが福音を宣べ伝えて行った記録なのです。エルサレムから始まった宣教は、サマリヤの多くの人々を信仰に導き、次いでローマ人であるコルネリオ一家を救いに与らせ、さらに今日のトルコからギリシヤ、ローマへと進んで行ったのです。こうして、使徒の働きの続編として、ついに極東のはずれの日本にまで福音は伝えられました。主イエスの約束は何一つ違(たが)いませんでした。 |