間もなく私たちの救い主イエス・キリストのご降誕をお祝いするクリスマスがやって来ます。主イエスは旧約聖書に数々預言されている約束のメシヤとしてお生まれになりました。そのメシヤであるイエス様は系図をたどることができます。マタイの福音書は、「アブラハムの子孫、ダビデの子孫、イエス・キリストの系図」と書き始めています。この系図から何がわかるでしょうか。
I. 約束のメシヤを示す系図である
今から4000年前に神は、ユダヤ民族の先祖としてアブラハムを選びました。彼とその家族をメソポタミアから今のイスラエルの地に導きつつ、彼の子孫からメシヤが生まれることを約束されました。「あなたの子孫によって、地のすべての国々は祝福を受けるようになる」(創世記22:18、参照ガラテヤ3:8,14)。また救い主は「エッサイの根株」すなわちダビデの子孫から生まれることが預言されました(イザヤ11:1-2)。マタイのこの系図は、アブラハムからダビデまで、そしてダビデから、バビロン捕囚とイスラエルへの帰還も含めた長い期間もずっと続いた、ダビデ王の子孫ヨセフまでの系図を示しています。主イエスはダビデの子孫として生まれました。
II. 人間のありのままの姿を示す系図である
この系図には4人の女性が登場しています。タマル、ラハブ、ルツ、そしてウリヤの妻です。
タマルは族長ヤコブの息子ユダの嫁でした。いろいろな事情があったのですが、ユダと息子の妻であったタマルは、義父ユダの子を産みました(パレスとザラ、3節、創世記38章)。主イエスはパレスの子孫です。
ラハブはエリコに住んでいた、カナン人の女、しかも遊女です。ラハブは、この町に遣わされたイスラエルの二人の斥候をかくまってやり、追っ手から無事に逃れられるようにしてやったので、主から恵みを受けて、生き残れるようになりました(ヨシュア2章)。真の神さまを信じていた彼女は、イスラエル人サルモンと結婚し、ボアズ(やがてルツの夫になった)を産んだのです(5節)。
ルツはモアブの女です。彼女は、夫が死んだ後、姑のナオミに献身的に仕え、姑についてベツレヘムに行ってから、ボアズと結ばれて、オベデ(エッサイの父)を産みました(5節)。
ダビデ王は、ウリヤの妻であったバテシェバと姦淫し、彼女は身ごもりました。王はそれを隠すために、ウリヤを戦いの最前線に送らせ、戦死させてしまいました。その後でダビデは悔い改め、やがて二人の間に生まれた子がソロモンです(6節、Iサムエル11-12章ほか)。主イエスは、これら罪を持った者たちの子孫です。しかし罪のないお方として救い主イエス様はお生まれになりました。 |