12弟子のひとりにイスカリオテのユダが選ばれたことは、多くの人にとって理解できないことです。12弟子を選ぶに際して、イエスは世を徹して祈られたことがわかっています(ルカ6:12-16)。ですから、私たちの思いを越えた主の深い御思いがあったに違いありません。そのユダがイエスを裏切ってしまいました。それにはそれなりの原因があるに違いありません。聖書から学びましょう。
I. ユダは金銭の誘惑に勝てなかった
イスカリオテのユダは今日の聖書箇所ではイスカリオテ・シモンの子ユダとも呼ばれています(26節)。イスカリオテとは「ケリオテ人」の意味です。ケリオテの場所は死海の東側、北寄りにあったと考えられます。12弟子の中でこのユダだけがガリラヤ出身ではなく、南のユダヤ地方の出身者で、「金入れを持っていた」(29節)ことからもわかるように、恐らくかなり有能だったから、今日の会計係をしていたのでしょう。しかし彼は、お金の出し入れに忠実ではなかったのです。彼は預かっていた金入れからいつも盗んでいました(12:6)。彼はお金の誘惑に勝てなかったのです。彼の思いはいつもお金を増やすことだったのでしょう。このような時にサタンは誘惑の手を伸ばして来ます。ついに悪魔は彼にイエスを売ろうとする思いを入れました(13:2)。このように最初の小さな誘惑に負けてしまうと、その積み重ねの結果、サタンがユダに入り(27節)、彼は重大な罪を犯してしまうのです。
II. ユダにはイエスへの愛がなかった
ユダの裏切りの最も根本的な原因は、彼にはイエスに対する愛がなかったことです。他の11弟子にはみな、イエスへの愛がありました。お互いに誰が一番偉いかと論じ合っていた、霊的には成長していない弟子たちでしたが、彼らのイエスへの愛と尊敬の思いは、どんな時にも決して弱まることはなかったでしょう。それはイエスの弟子たちへの愛を知っていたからです(1節)。とくにヨハネは自分が他の誰よりも愛されていたと確信していたようです(23節、19:26,20:2, 21:7, 20)。イエスはユダをも愛しておられたはずです。イエスはまた、彼がご自分を裏切ることを最初から知っておられました(6:64,13:10-11, 18)。それだけでなくユダの裏切りがどんなにイエスを悲しませるか、それは「霊の激動を感じ、あかしして言われた。『・・・あなたがたのひとりがわたしを裏切ります』」(21節)というおことばの中に読み取ることができます。しかしイエスの愛と警告はユダには通じませんでした。彼はサタンの意のままにイエスを裏切り、銀貨30枚で祭司長たちに売リ渡してしまうのです(マタイ26:14)。彼にはイエスへの愛がなかったのです。 |